松本光正著「中村天風の歴史」を一気呵成に拝読。いや〜実に面白く貴重な資料になりました。
愛弟子だった大井満氏が遺された著書、「ヨーガの里」「戦場と瞑想」とすれば、本著書は天風最晩年の直弟子が残しておかねばならぬお仕事でした。
先ずは積年の歳月をかけて奉程した事に敬意と感謝を捧げたい。天風会はこうした資料を基にして再度「天風の略歴」を書き加えが必要となります。
私は松本氏と面識ありませんが、「呆けずに長生き」「君子医者近寄らず」「強い人生を作る中村天風の言葉」「やっぱり高血圧はほっとくのが一番」を拝読してきましたが、まさかこれほどまで「天風おたく」(自称)を実践していたとは知りませんでした。実に痛快です。
天風師の歴史をできる限り正すための時代考証と「ありばい」の検証だけで1冊の本に仕上げて出版されるとは、松本氏の強い信念と思います。果たして今この本を手にする「天風おたく」がどれほどいるのか興味がつきません。「天風を世に広める会」の会長を自認し会員1人といいますが「不孤」、ご健勝をお祈りいたします。
内容についての議論は差し控えますが、天風師は徹底した「平和主義者」と「平和」の言葉が好きだったとありますが、これはどうかなと思います。戦後は「平和至上主義」で、天風師にしても世の風潮に迎合して「平和」を使わざるを得なかったが、私の最も嫌いな語彙となっています。戦後に育ち吐き気がするほど偽善的で使い古された「平和」を、叩き込まれた世代のためと思います。ですから私は「平和」をすべて「調和」に書き換えて「和を以って尊し」を採用しています。
「おわりに」ある著者の生活信条は「天風おたくを通すこと」とあり、私も大賛成です。著者はここでコロナ感染のなかノーマスクを通し診療中もそうしているとあります。天風師が「マスクはするな、口に褌してどうするのか」を、実践しています。天風師はスペイン風邪の猛威の時期に辻説法を始めていました。
「待ってました天風おたく!」これぞ直弟子です。でも、これではやはり絶滅危惧種です。一方で天風師は人に迷惑をかけないことを前提としていました。いま絶滅危惧種にならぬよう「天風哲理2.0」のバージョンアップが必要になっています。これは孫弟子の仕事になるのでしょう。
中村天風の歴史
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