この小論は呼吸操練を実習した方を対象にしています。
呼吸操練は朝の行修の時、「甦りの誦句」、「吾らの誓い」、「活力吸収法」の後に行われる運動です。
私の呼吸操練は昭和43年(1968年)東京本部夏期修練会の朝礼の時に収録した杉山彦一先生指導のテープを聞きながら運動してます。呼吸操練はクンバハカと呼吸法を同時に操練するように研鑽され組み立てられた完成度の高い運動なっています。
本テープが収録された昭和43年は、天風会創立50周年にあたり、天風会館が落成した年となります。天風先生が帰霊された年でもあり、本テープは天風先生の直伝による、「甦りの誦句」「活力吸収法」が、収録されています。たいへん貴重なテープで、なぜこの収録が公開販売されないのか、不思議でもあり残念にも思っています。
私は運動に関しては体力に個人差と年齢差があるので、各自が適時に自分に合った運動法を工夫すればよいと考えていましたので、これまで呼吸操練について言及することを控えていました。
しかし、昨年暮れに天風先生の墓参りの後、「天風会朝の行事DVD」を購入して見ましたら、呼吸操練が単なる運動法になっていて、まるで無声動画を見ているようでした。製作者に敬意を表しますが、各動作に意味付がないため、巷に多々ある運動法と変わらなくなっていました。
DVDのカバーに:「本商品は、天風会が開催する修練者を対象に制作しています。神経反射の調節法や各体操法などのトレーニング経験のない方は、天風会の開催する行事で指導を受け、また天風会発行の『心身統一錬身法』を併せて、本商品を活用するようにしてください」とありました。
商品と言ってよいのかわかりませんが、全くその通りでこれでは各動作の解説を「心身統一錬身法」に丸投げして完成品になっていません。たしかに「心身統一錬身法」の写真入り図解はよくできていますから、DVDをセットにして販売すればよりよいものになったと思います。
(「DVD」「心身統一錬身法」、双方とも不許複製になっていますが、世のため、人のためになる事ですから、著者権にこだわることなくどんどん発信して行きたいものです。また、そうする事が天風先生のお望みかと思います)。
前置きが長くなりましたが、冒頭に紹介した杉山先生の収録がDVDを補足して、各動作と意味付けが対になってますので、「心身統一錬身法」を参考にしながら、収録をそのまま書き起してみることにしました。
* * * *
呼吸操練
(クンバハカと同時に各呼吸器官を訓練し呼吸機能を旺盛にする運動。
基本姿勢はクンバハカ体勢で、しっかりと大地に立ち、親指を中にし拳を握り、手首を身体側につける)
1、踵あげ
(自律神経を強くする)
節度節度によくクンバハカをつけてやりましょう。始め!
クンバハカをして十分に踵をあげます。
十分に伸び上がったところでクンバハカをキュッと、静かにおろす。
もう一つクンバハカをキュッと入れて自律神経系統を長大にする呼吸。
2、指はじき
(神経を活発にする)
クッとクンバハカをする。クンバハカをしておいて足を開く。
クンバハカをして手を開いて前に、十分に引きしぼる、
はい、指はじき1.2.3.4.5ォ、前からパーと。
3、息吹
(肺呼吸と呼吸組織を旺盛にする)
そのつぎにクンバハカをキュッして十分に息を吸う。
生命にバイアブレーションを与えて肺の抵抗力を強めます。
4、胸たたき
(肋骨と肋骨筋を強化し、肺気胞を刺戟し、肺機能を促進する)
はい、クンバハカをキュッとして息を吸いながら胸たたき
ポンポンポンポン、は〜と横から手をおろす。
5、背中さすり
(背部の肋骨と肋骨筋を強化する)
はいクンバハカをして肩を引き手は後ろ、肋骨を強大にする呼吸、
踵をあげ直して息を吐く。
6、胸開き
(胸腔の拡張し、呼吸機能を強化する)
その次は胸空の拡張、クンバハカをキュッとして、
息を吸いながら手を前にクンバハカと同時に肩をひく、1.2.もどす。
7、膝まげ
(血液循環を促進する)
その次は血液循環を旺盛にする呼吸。
クンバハカをキュッとして、ステッキを握りしめるようにクンバハカを
グッと、はい、息を吐いてもとの姿勢。
8、清め
(肺蔵内を清浄する)
クンバハカをキュッとして十分息を吸う、吸ったところでクンバハカを
キュッとして口笛ヒューヒューヒューヒュー肺臓内を正常にする呼吸。
9、気合い
(音声を強大にし、喉の力を強くする)
最後に大きくクンバハカして十分息を吸ってクンバハカをキュッとして
気合いベー(VEY)!
音声を張大にして喉の力をつくります。
クンバハカをキュッとして、はい直れ。
節度節度に十分クンバハカ入れて、正確に呼吸操練をいたします。
* * * *
以上です。
深呼吸を挟みクンバハカで始まりクンバハカで終っています。
天風会創設当時は、胸を患って入会された方が多かったので、そうした状況のなかで「呼吸操練」が創意されました。現代社会でも十分に通用する心身健康法ですので、大切に実践したいものです。
ついで次回は「統一式運動法」入りたく思います。
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