私はこの8月で天風師の著書に出逢ってから30年になりました。
もう古参になるのでしょうが、時ばかり流れいまだに「これだ!」というものを掴めずにいます。「日暮れて道遠し」修行の至らなさを実感する昨今です。
この機にギネス的な最古参・山田務名(ちかあき)先生の著書「天風道八十年」(ウエルテ社刊)を読み返しました。天風直伝の心身統一法を、実践向けに解説した貴重な参考書になっています。
著者は1924年(大正13年)、結核に感染した病弱な9歳時から天風師の指導を受け、2006年に逝去するまで天風道ひとすじに歩み続けた不動の金字塔です。しかも時の長さだけでなく成熟した深さと重みのある内容です。直伝の事始めはクンバハカ密法でして「手の小指を締めれば肛門が自然に締まり、肩の力がぬけ、足の親指を締めれば下腹に気がこもる」と、9歳でクンバハカを習得してからの80年間です。惜しむらくはこの名著が絶版になっていますので、是非とも天風会で再出版していただきたいものです。
私は朝の行修で山田先生の「安定打坐」テープで打座していますが、80年は私にとりこれから50年の道程になりどこまで行けるのか。金字塔の前で30年などなんのその、いやがうえにも謙虚にならざるを得ません。同時にいい励みになります。
1985年に私が天風会の門を叩いた時は、天風師はすでに帰霊されてから17年が過ぎていましたが、師の温もりと余韻のなかで杉山彦一元会長が真理瞑想を担当し、山田務名先生が安定打坐の指導していました。私はもうこれ以上に自分の資質に合った教えに出逢うこともないだろうと、天風哲人を正師として全人格的に傾倒して行きました。
私はアメリカ在住ということで、入会手続を経ぬまま初心者の赤札を胸につけ赤札組として夏期修練会の真理瞑想に参加しました。また日曜修練会の教義も拝聴させてもらいました。
私はこの赤札組というスタンスが居心地よいものですから、30年前にいただいた赤札を部屋に掛け「赤心を忘れぬ勿れ」と戒めています。ご覧の通りぜんぜん色あせていません。かくしてまた赤心の新たな1年が始まりました。
「できます、やります、がんばります」