2016年11月アーカイブ

DSC00607.jpeg 今年の感謝祭はローマ時代から栄えたポルトガルの港町ボルトで祝杯してきました。
 「VINHAS D' ALHO」というレストランに7時に予約を入れると、先方からファドのライブがあるから8時半にしてくれないかと時間指定されました。
 ファドはポルトガル語で「運命、宿命」を意味する民族歌謡。大航海時代の繁栄から没落してゆく愛と嫉妬の挽歌です。日本の艶歌のようなもので、19世紀中頃に生まれ酒場やレストランなどで歌いつがれてきてました。
 50席ほどのこのレストランは、かつてファドの歌手だった熟年夫婦がお店のオーナーでした。ディナーの合間にギターとヴィオラの演奏をバックにして熟年夫婦がファドを聴かせてくれます。ファドに魅せられた夫婦が民族のソウルを、旅人に聴かせたいがためにレストランを経営しているかの様でした。安価な食事代に客の方が心配になってきます。
 世界遺産の街なかで生きた文化を受け継いでゆく、こうした人生も素敵だな〜と思いながら聴き入りました。ほろ甘さとコクのあるアルコール度数20のボートワイン(食後ワインでブランディーに近い果汁)を飲みながら贅沢な幸せを感じてきました。
 帰れば12月、数年前からネット通販の注文が激増し、多忙な出荷月になっています。よい月にしてゆきましょう。

320.jpeg いま岩波ホールにおいて台湾でビッグヒットした映画「湾生回家」が上映されています。戦前に台湾で生まれた(湾生)日本人が、終戦時に強制送還されてから60数年の歳月をへて帰郷するという、日本と台湾の絆のドキュメンタリー。
 この映画に台湾の若者がはじめから終りまで涙を流していたというから驚きです。彼らの中国人から台湾人への心の帰郷でもあったのだろうし、かって台湾を捨て去った日本人にとって心の帰郷かと思う。
 私は18歳からかれこれ100回を越える訪台で、台湾通を自称していましたが、最近2014年3月のひまわり学生運動、今年1月に女性初の蔡英文総統が誕生し、台湾が「シン・タイワン」へと急激に質的変化してきてまして、これまでの台湾認識では通用しなくなりました。1986年頃から台湾の生産工場が中国に移転をはじめ、私の出張先がもっぱら香港と中国になり、台湾は訪問だけになってしまい内部の変容を見逃していました。
 「シン・タイワン」の街角に立ち止まり、ふりかえると30年の歳月が過ぎていました。ですから私も「湾生回家」、もう一度ゼロから台湾を勉強し直そうと思い、各界の要人を表敬訪問し、また一連の近刊本を読み漁り、やっとのことで長い空白を埋め合わせることができ、どうやら台湾通から「シン・タイワン通」に変身できたようです。
 明日から感謝祭の休暇でポルトガルへ飛んでしまうので「なぜ台湾でなくシン・タイワンなのか」を、落ち着いて整理していられませんが、これから時おり「シン・タイワン」を、ブログに登場させてゆきたく考えています。

心の空洞化

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IMG_4111.jpeg とりあえずはトランプ・ファミリー新王朝が誕生しました。でも気がつけば上下両院の過半数を確保した共和党の勝利でした。これでクリントン王朝、ブッシュ王朝の終焉です。
 民主主義とは方便のもので、多数決で決まれば反対していたみなさんも「君子は豹変」手の平返し、現実はあっさりしたものです。
 トランプはリーガン元大統領の政治手法を参考にすると思うが、不動産屋の習性で国家財政にかまわずバブル大統領になるでしょう。
 けして偏見や差別でないのですが、ここ数年の間に韓国のヒョンダイ(現代)とKIA(起亜)の車が目立つようになりました。プアーホワイトが高い日本車から安い韓国に乗り代えです。かつて日本車に乗った中産階級は、明日はさらによい車という積極な上向きのでした。それが日本車から韓国車に乗り代えは消極な下向き自尊心損傷のアメリカンになりました。たぶんこの人たちがトランプに投票したのかと思う。フォードやGMの生産拠点であったデトロイトのミッシガン州は、工場が中国に移転して空洞化してしまい、手堅い民主党の地盤で初めてヒラリーが敗北しました。フォード社は今日の発表で、メキシコに移転を決めていたケンタッキーの高級車生産工場の移転計画を中止しました。さりとてこれくらいで心の空洞化が解決するほど単純なではない。アメリカの貿易赤字の半分を占める中国が、国内の失業者を生み出したとして、トランプ民主王朝VSチャイナ共産王朝が、どうわたり合うのか現時点では予測できませんが、2017年は早くも荒れ模様のようです。

15056404_1332421250123869_9094643926572133079_n.jpeg アメリカの大統領選デスマッチをライブで見ることなく、台湾に降り立ったタクシードライバーから知らされたのは緩衝材だった。あれは心臓によくない。
 あれから「何をか言わん」で、軽い失語症になってしまったが、アメリカに舞い戻るにあたり、なにか言い訳のセリフが必要になり、気晴らしかたがた竹内政明著「名セリフどろぼう」を読んできました。
 名セリフはまず「前略」を、英語で「フロントカット」から始まり、教授が女子大生に「キミ、真珠湾ってどこにある?」と訊いたところ、う〜んと唸ったあと「三重県です」と名答、「B29」を聞いた若者が、驚いて「え、そんなに軟らかい鉛筆があるの?」ときた。誠に痛快!「アメリカは遠くなりにけり」です。アメリカを杞憂する世代などは、「遠からず老人ホームにあしたのジョー、おそ松くんら氾濫すべし」で「これでいいのだ」。長島茂雄氏も「ワーストはネクストのマザー」(最悪は飛躍の母)と名セリフ。
 68年ぶりのスーパームーンの白光が翼を照りつける機上で、すっかりご機嫌になってしまった。「千里の好風、一夜の月」、古い世代は「風とともに去りぬ」、「Tomorrow is another day(明日は明日の風が吹く)」と、スカーレットが最後のセリフで決めています。これがまたこの国の積極精神でもあります。アップル社のCEOは「何があっても前進を続ける」と社内通達しています。
 私も明日への備えと前進のため、新たに身の周りを整理、近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」から始めることにした。

tumblr_lxjc6zvvFA1r2dgk1o1_500.jpeg 台北の松山飛行場に降りホテルに向かうタクシーのなかでヒラリーが負けているニュースでした。そのうち逆転するだろうと思っていたら、そのままトランプのジョーカーでした。ソシャールネットワークの勝利です。
 私の予測は外れました。これは私のアメリカ人に対する認識のズレそのもの、アメリカはまだここまで行ってないと思っていたら、もうここまで来ていました。国家がスランプに陥るときはこの程度の鰯の頭しか生まれぬものです。それにしても、、

IMG_4153.jpeg 私は当地を1週間ほど留守しますが、 6日はニューヨークマラソン、7日は治安機関からニューヨーク州、バージニア州、テキサス州にテロが行われる可能性があると報じています。そして8日が大統領選挙となります。
 ここにきて両候補の勝率が数%の誤差範囲まで接近し、どちらが勝つのか最後までわからなくなっています。8日の夜半に結果がでるのに、今からあれこれ予想しても仕方ないことですが、当地に住む者として出発前に予想しておきます。
 私はブログで1年前から一貫してヒラリー勝利と予想してきました。これまでの常識と経験からして、やはり彼女に軍配をあげます。かりに予想が外れたら、私が間違ったのでなく選挙の間違いです。
 オバマ大統領以降、アメリカは急激に変質してきていますが、それでもまだトランプの資質まで行かないだろうと思う。トランプのババ抜きでアメリカ初の女性大統領となるでしょう。
 と、ここまで書き進めたところに日系の知人からメールが入ってきました。これは私の9月29日付けブログに書きました、オバマ続投という大番狂わせのシナリオです。
 「クリントンあるいはトランプの何れが勝ったとしても、選挙後から大統領就任式までの期間は、どちらも大統領ではないのです。この間に魔物が潜んでいるかも知れません。かりにクリントンが勝ったとしてもメール事件や健康問題が再燃し重大問題化した場合、大統領就任は難しくなるのではないでしょうか。トランプが勝ったとした場合、共和党の内部告発のようなことが起こらないとも限りません。このような事態が発生すれば、オバマが非常事態として任期の先延ばしを計る可能性も考えられます。憲法に規定によって大統領の任期は2期を超えることはできませんが、国家が非常事態の場合は特例として認めざるを得ないのではないでしょうか。そして次回の選挙で決着がつくまで6ヶ月〜1年の期間ぐらいは居座る可能性も否定できません。私の幻想でしょうか?」
 一説にメール問題でオバマがFBIの背中を押したとも、いやはや政治の世界は闇の闇 "Too dark to see" で選挙後もまだ喧噪が続くようです。いい加減にしてもらいたい。

A787_I1.jpeg 韓国の内情がガタガタになっています。朝日新聞の一面の見出に「朴政権、絶対絶命」と書いています。韓進海運の破綻に続き、サムソンの失速、現代車の伸び悩み、ロッテ騒動、大統領スキャンダルと、このところよいニュースが伝わってきません。
 私は2013年5月4日付けブログでこんなことを書いてみました。
『韓国はやはり「恨」の国だなと、今さらにしみじみと思う。
「恨(ハン)」とは、白川静氏の字解によると「艮」は目の下に後ろ向きの人の形「匕」と書き、目は人の呪いをかけ災いを与える呪眼。後ろ向きで進もうとしても進めず不本意に退く心なので「うらむ、にくむ」になると解説しています。
 朴新大統領に期待したが、どうやらたいした政治家ではないようなので少々落胆です。ピーターの法則から見ると彼女は大統領になることでスキルの頂点に達してしまい、厳しい国際情勢のなかで韓国をリードして行くだけの力量が無いようにみえます。どうやらあの切れ長の眼は、両親の暗殺の悲劇を見てしまった「恨」の目で、「恨」を持して青瓦台まで登りつめたかのようです。またして後ろ向きで進む凡庸な大統領とこれから5年もお付き合かと思うと気がめいるが、「恨」の国民性にしてあの大統領なのだろうと思われる。(中途省略)「恨」で発想した行為はおおむね「恨」の因果応報で終わるという、仏の教えを学習してそろそろ大人の国になるへきかと』。
 今の朴大統領の現状は自業自得とはいえ痛々しくて見ていられない。もとより不運の人を指導者にすべきでないのですが、韓国の民意で起きてしまった現実です。
 彼女の大きな失策は外交政策から始まりました。日本が民主党政権の時に没落を始めたと判断して、サムソンと現代を引き連れ、韓進海運に乗り、慰安婦を理由に「反日親中」に大きく舵をきりました。その頂点が天安門壇上の朴大統領でした。登ったあとは下坂でして、ここから陰りが始まり不運の連続で今日に至っています。まさかの安倍政権の再当番で予測が狂いました。
 しかし、大人の日本は「それみたことか」の反韓嫌韓でなく、いつまでも懲りないお人好と思われようと、溺れる彼女に惻隠の情をもって善導です。日中韓首脳会談での初訪日も歓迎です。
 「因果応報、善因善果」は仏の教え、東アジアの指導者で強運な安倍首相はそうするでしょう。

熱誠憂国

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IMG_4147.jpeg 各国首脳の親日、知日のランキングでよくフランスのシラク元大統領が1位になっていますが、私はそう思いません。間違いなく台湾の李登輝元大統領がダントツで1位に輝くと思う。
 私はこれまでにこの方ほどの親日家を他に知りません。なにせ本人も日台人と思っているくらいで、奥さんが「あなたは台湾の総統を12年もやったくせに、日本のことばかり心配している」と呆れるほどです。
 これは日本がしっかりしないと台湾がたちゆかなくなるという見識からですが、とにかく有り難いことです。時には親日のあまり感情移入が激しくこちらが戸惑ってしまうほどです。
 今回シン・タイワンをはじめから勉強し直す一貫として、李登輝氏が90歳を越えてからの近著「李登輝より日本へ贈る言葉」、「日台の心と心の絆 ー素晴らしき日本人へー」、「熱誠憂国 ー日本人へ伝えたいことー」を、拝読しました。
 日本と台湾は運命共同体、共存共栄であり両国で東アジアの平和を築いてゆくべきと主張しています。日本は戦後の自虐史観を超克して日本の本来の精神を取り戻し、世界の日本たれと叱咤しています。
 氏はじき95歳になり最近また体調がすぐれないようです。著書に「人間は死んだら自然に還るだけである。自然の主宰者は神であるから、神様のところに還るだけだ。私は自分が死んだら焼いて灰にしてもらい、台湾のほぼ中央にある玉山(新高山)に撒いてくださいとお願いしている。そうすれば、いつも台湾と一緒にいられる」と記してます。
 私は「熱誠憂国」の李登輝氏が、台湾におられる間にもういちど氏と同じ空気を共有したく訪問を急ぎました。

11:1.jpg 移民の国アメリカ、昨日はインドの正月とハロウィーン、2週間前にユダヤの正月、来月は当地でクリスマスから正月、1月28日は中国の正月へと続きます。めでたいことはいい事で、私はいずれの新しい元気にも便乗しています。
「ここではあなたのお国より人生がもうちょっと複雑なの」(ジーナ)
 11月6日から冬時間が始まり、8日は大統領選挙で前味の悪い喧噪な選挙戦からやっと解放されます。幸い私は留守して上旬に台湾と日本に出かけ、中旬は当地で翼を休め、下旬から感謝祭のバケーションで、ポルトガルの港町ボルトとスペインの巡礼地サンティアゴとなっています。ボルトの赤ワインを片手に、サンティアゴで神に今年1年の幸を感謝して乾盃です。一度はこの2つの世界遺産に行ってみたかったので、いまから楽しみにしています。
 さてと11月です。まだまだただの豚にはならんぞえ。

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