私の恩師・野島芳明は、敗戦時に特攻隊員として生き残り、そのまま富士湖畔で13年間も冬ごもり勉学されました。恩師は「富士が朝日を照らされ一瞬だけ赤く映える神秘さが私のすべての霊感(インスピレーション)の根源になっている」と話していました。そして、いまも霊峰富士のもとに安らかに眠っています。
そんなこともあり、私はオフィスに2幅の赤富士の絵を掛けているのですが、これまで実際に見たことがありませんでした。
8月17日の早朝、台風7号一過の澄みきった青空のなかに富士山が遠望できました。ホテルニューオータニの8階の部屋から眺めていましたら、じき朝日に照らされた赤富士を見ることができました。主に晩夏から初秋の早朝に見られるというこの瞬間を、スマホで撮るのでは惜い気がしたが、なんとも幸運なことでした。
また、この2日前の出来事で友人からメールをもらいました。普段はきわめて冷静な友人なのですが、めずらしく熱いメールでした;
「武道館における戦没者追悼式に参列しましたが、退位のお気持ちを述べられた陛下がご退場されるときに、あの大きな会場から自然と大きな拍手が起きて鳴りやみませんでした。思わず涙腺が緩みましたが、先人の多くの苦労と賢明なる選択の結果が、今日の国のかたちを作っていることをあらためて感じました。あの湧き上がるような『自然な拍手』こそが民主主義の下における天皇の在り方を示していると信じてやみません」と、ありました。
お盆明けの東京は素晴らしい滞在になりました。
赤富士
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