(上海空港の壁の凹みに垂れ下がった萎れた国旗を初めて見ました。それにもう古くさい10/2015撮)
久しぶりに中国経済です。
春節後の中国経済が減速(ソフトランディング)か、失速(ハードランディング)するのか、じ〜と観測してきました。
上海株市場と人民元の為替相場は、明らかにテコ入れ操作しているので経済分析として使えないし、政府が発表する統計指数も透明性ののない官製数字でこれも使えません。
高度経済成長が終り停滞がはじまり、一挙に累積した問題がでていることは事実ですが、発表する統計に信頼性がないので、その先がどうなるのか見えてきません。しかし、長年の中国ウォッチャーがこの時期にいつまで沈黙しているようでは沽券にかかわるので、見解を書いてみました。
最近の社会状況とニュースから露見する点と線を、直感でつなぎ合わせた推察ですが、短期的にハードランディングはないとみました。ハドランディングは中国共産党(以下、党に省略)の崩壊に直結してくるからです。1992年の市場開放から、政治は共産主義で経済は資本主義という矛盾した「社会主義市場経済」の路線に移行し、経済成長が党の正統性の示す唯一の存在理由でした。それが崩れるということは党の存亡に直結してくるからです。ですから党はなんとしても崩壊をくい止めようと次々に経済刺戟対策を打ち出しています。過去30年間、平均成長率10%で蓄積した党の富で、当分はハードランディングをくい止めるだけの余力があると推測します。
それにもし中国経済が崩壊すると、世界経済に与える影響が大き過ぎてしまうために潰せないのです(Too big too late to Collapse)。国際金融資本および各国がソフトランディングを望んでいるからです。日銀の黒田総裁も、中国から膨大な資本が流出して人民元が大暴落しないように資本規制の導入を示唆した発言しました。反中陣営からは「敵に塩を送った」と批判されていますが、この発言は大局的にみて現実的判断として理解できます。日本にとっても隣大国がソフトランディングしそのまま長期に停滞して行くことが一番望ましいからです。格差社会と環境汚染で苦しむ中国の人にとってここらでスローダウンするのもいいことです。
また最近の党の動きに独裁色と権力闘争がくっきり見えてきました。党が全ての最高位で、司法、立法、行政の三権の上に党があり、その下に軍隊、外交、企業、マスコミ、そして民が存在している政治体制です。国軍でなく党軍であり、国旗でなく党旗、国有銀行でなく党有銀行、国有企業でなく党有企業で、党が方便で国を装っています。
この制度疲労を起している構造を改革しないと中進国の罠にはまり新たな成長が望めませんが、それは党を否定することにつながるからできない袋小路(死巷)です。しかし、このまま構造改革を先延ばしていますと長期的にみると党の崩壊です。その崩壊のサインは天安門から毛沢東の肖像画が引きずり下ろされる時です。私の目が黒い内に目撃できるかもです(私の目がいつまで黒いのかと聞かれても神のみぞ知るですが)。でも崩壊してもそれは党王朝の崩壊であり国の崩壊ではありません。民は相変わらずです。中国はこうした王朝興亡史を繰り返してきました。そしてこれからも、、、そして、最近つらつら思うに、アメリカが大統領制民主主義で、日本が天皇制民主主義とするならば、中国は王朝制民主主義でもいいのかなということです。
中国経済@2016
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