5月は当地でゆっくり読書を楽しみました。
私が注目してます論客の一人に馬渕睦夫元ウクライナ大使がいます。これまで「国難の正体」、「本当に伝えたい感動的な日本の力」と進み、今月は「『日本』国体の真実」を読みました。
馬渕氏は外務省でイギリス、インド、ソ連、ニューヨーク、EC、イスラエル、タイに任務し、その後キューバ大使、ウクライナ兼モルドバ大使を経て、防衛大学校教授を最後に退職という略歴です。著書から受ける印象は誠実な人柄で、長い海外生活を通じ一筋に日本民族はこれからどうあるべきかを問い続け、真剣に研鑽を重ねてきたようです。こういう人が在野にいることは日本の貴重な財産です。
本著書では国際政治、経済、信仰の三部面から現状を憂い、それを超克するために「古事記」の神話にまで遡り、民族の遺伝子である国体を透かし出しています。「古事記」は理性で読むのでなく、各自が感性で読むことで「国体の真実」が観えてくるとしています。神話時代からの遺伝子を引き継いだ「国体」を核に日本を再建し、21世紀の国際社会に貢献して行こうと、神ながらの道を訴えています。内容のあるいい著書でした。
「この道は ゆく人なしに 秋の暮れ」(芭蕉)、落ち葉散る細い路地ですが、馬渕氏はこれが日本の活きる道なのだと説いています。古代精神の復興という少々理想主義に傾いていますが、熾烈な国際政治の中を一生一事に活きてきた馬渕氏の叫びですと、理想が現実的な説得力をもって心に響いてきます。
私はこの波動で受けて(素直なものですぐその気になってしまう)、出雲井晶著「わかりやすい日本の神話」を、本棚から取り出して感性で2回読んでみまった。
さて6月になります。読書をいったん切り上げて行動です。今月はアジアに2往復となり留守します。機上でゆっくり映画のお楽しみです。よい日々にして行きましょう。
2015年5月アーカイブ
先日は中国の国営某会社が6千人の総勢でフランスに慰安旅行をしたニュースに呆れたが、今日は日本の旅行業界関係の団体3千人が北京に押しかけたニュースでした。
中国人の訪日爆買いのお返しかと思うが、「二階」に上がって梯子を外されぬようご用心。旅行業界の団体なら旅行者が安全に旅行できるように環境汚染の改善を、きちんと要求してもらいたい。
ここでも戦略的互恵関係が話題にでたようです。日中戦略的互恵関係とは、日本と中国がアジアおよび世界に対し責任を持って貢献してゆくなかで、お互いが共通の利益を拡大しながら日中関係を発展させるという主旨です。簡単に言えば「ウイン・ウイン」の関係でして、使い古された欺瞞に満ちた「日中友好」とは趣きを異にしています。これは私の対中外交の原則、「距離を保持して安全運転(保持距離、以策安全)」でして、日本的な「スイート&ウエット」でなく「スイート&ドライ」の関係です。
歴史的にみても日本と中国は対等の目線でお付き合いができず、常にどちらかが相手を見下ろす関係になっています。これからも両民族が互いに一目を置きながら競い合う関係が続いてゆくことでしょう。どちらもアジアのリーダー(中国語は覇権)を競うライバルになっています。
中国は核保有、総人口が日本の10倍余、土地面積が25倍で数字上では圧倒されますが、文化力では日本が圧倒しています。ですから誇り高き敷島の大和民族が、漢民族の後塵を拝することに甘んじるわけがありません。
それには日本が本来の日本を実践するため、戦略的に太平洋上で日米同盟の強化、インド洋上ではかつて中国儒教とインド仏教を平行導入してバランスをとったようにインドとの連携となります。
どうやらここにきて21世紀における日本の積極的平和外交の方針が明確になってきました。
(自宅のハナミズキと若葉)
夏近し その口たばへ 花の風 (芭蕉)
今年は長い冬が続きここ2週間で急に暖かくなったため短期間にさまざまな草花と樹木がいっせいに花を咲かせ、若葉が萌えました。そのため過去に列がないほどダブルの花粉が飛びかい、当地では「花粉津波」とまで言われています。
例年の私ですと花粉症の「ハナミズ期」で、先ずクシャミの連続からはじまって鼻水、ついで目が充血して目やに、ちょうど今頃は扁桃腺がはれて咳こんで持ち前の元気が萎えている時になります。
それが今年は有り難いことに花粉症がありません!!多少のクシャミはご愛嬌です。40数年にわたり花粉症に悩まされてきて、毎年いかに克服するかを考えてきましたが、そのつど挫折を繰り返していました。その花粉症がないということは、明らかに昨年3月から続けてきた飲水の効果だと思います。この期間はプロポリスを併用して飲んでいますのでその相乗効果もあるかと思いますが、自分でも驚いています。
1日に500ccのペットボトルでだいたい4本、特に寝起きの1本は欠かさずに飲み続けてきました。よく頑張ったと自分をほめてやりたい。
「ハナミズ期」はあと1週間ほど続くのでまだ油断いや「水断」できませんが、そろそろ発表しても大丈夫かなと思い、本邦初公開です。
石平著「中国人はなぜお金しか信じないのか」ー中国三大宗教と共産革命の悲劇ー(KKベストセラーズ刊)。本書では「ニヒリズム」の語彙がまったく使われていませんが、中国人がニヒリズムに陥ってゆく過程を簡明に論及していました。本のタイトルは出版社が決めるのですが、「中国ニヒリズム」とすべきでした(これではタイトル買いがないと思いますが)。
石平氏(2007年に日本に帰化)は、北京大学で哲学を専攻したこともあり、中国人がなぜ倫理・道徳を崩壊させてしまい、ひたすら「拝金主義」に走り、自分が得をするためなら、他人などどうなろうともかまわないというまでに堕落してしまったのかを、中国現代史をふりかえり信仰と精神面から論及しています。
氏はこの問いに5年間コツコツと資料に当たって書き上げています。石平氏の著書はこれまで中国の政治的、時事的なものが多いなかで、本著書は文化的に掘り下げていまして、氏の代表作になるかと思います。
長年にわたり中国を見てきた私に最もしっくりと頷ける内容でした。私が天安門に毛沢東の写真が掲げてある間は北京を敬遠するのも、また私が中国人を無下に突き放せないのもこんなところにあるようでした。
そんなことで中国を理解するうえで興味のある方にお薦め本です。
1990年頃から「朝鮮日報」のサイトを読んでいます。ここ数年は辟易しながらも我慢して目を通し、鏡に逆反射して違った角度から日本が映しだされるのを参考にしています。
韓国のマスコミが「親中反日」を、世論に煽りに煽って政府をつきあげ、政府もそのポピュリズムに乗って国策を遂行し、中国の属国化へ、そして民族の滅亡化に陥って行く様は、つい数年前の日本の状況とオーバーラップしてきます。
日本のマスコミが世論を煽りに煽って民主党政権を誕生させ、米中等距離三角外交とやらで日米関係をおかしくし、沖縄問題をめちゃくちゃにしました。もし今でも民主党が主導していれば、中国が提唱するアジア開発銀行(AIIB)の招集に真っ先に手をあげて海洋国家の国策を誤り中国への属国化を加速させたことと思います。日本も韓国と同じ事をやっていたわけで、思ってみただけで背筋が寒くなります。桑原桑原、危ないところでした。
さらに鏡の逆光から映し出されるのは、中国の文化工作組による韓国マスコミとそれに連動した世論への浸透ぶりです。ここにきてさすがに韓国の論調が変ってきましたが、そうとう深くもまで食い込んでいたようです。おそらく対日工作もそうとう深くまで入り込んでいたことが、鏡からの反射で推察できます。
先の安倍首相の「希望の同盟」で、日本の方針を明確にし、日米安保をさらに強化するメッセージを発信したことで、東アジア情勢の展望はとりあえず晴れ間がみえて仕切り直しになりました。仕切り直しとは立ち合い前の緊張した身構えです。さて次は8月15日なのかな、、
研ぎなほす 鏡も清し 雪の花 (芭蕉)
(ピンクから白、そして5月の紫へ)
最近の韓国ですが「嫌韓」から「呆韓」を越えて「憐韓」になってきました。
自称フェミニストの私、最近の朴ク恵女史を見ていると憐れに思いはじめ同情さえ感じています。自業自得とはいえここまで無能をさらけ出してしまうと、何とか手をさしのべないと彼女は崩れてしまう。
やはり不運な人を国の指導者にすべきではない。北朝鮮のこともあり韓国が崩れても日本にとってもいいことでない。彼女の任期があと2年半もあるので、ここらで軌道修正しないことには韓国自体が埋もれてしまうだろう。ふと、満州民族が漢民族によって消滅したように朝鮮民族も滅亡の過程が頭をかすめます。まぁ日本もごく最近の民主党政権時に民族が滅亡して行く危機に瀕したが、幸い聡明な国民はすぐに軌道修正しました。韓国の国民にも同じ事を望みたいものです。
韓国人の一人一人はいい人が多いのに、なんで集団共同意識になるとこうも「恨」に成ってしまうのだろう。日本とは近親憎悪の関係だと思うが、これは心理病理現象でして本人が自ら変わらない事にはなにも解決しません。彼らの成長を待ちそれまで放っておくほかありません。
日本は先日アメリカでの安倍首相の演説にもみられたように、太平洋国家の方向性を明確にしました。しかも演説では戦略的関係国として、アメリカ、オーストラリア、インド、東南アジア諸国の次に韓国を置いて脱東亜を示唆しています。安倍政権はすでに韓国を突き放して相手にしていません。これで近親憎悪の甘えた病理現象か治ることを、絶望的に希望しています。
ゴールデンウィークで我がふる里の世界遺産・富岡製糸場に参観者が列をなして5月3日に1万人の大台を突破し、4日には記録を更新して1万2千人を越えました。私も7月にスイスのウズナック市長をお連れして表敬訪問となっています。
富岡にとり連日にぎわいは明治このかた初めてかと思います。これに付随して4月24日に「上州のかかあ天下」が、日本文化遺産に認定されたことが拍車をかけました。「かかあ天下」が文化遺産にされちゃあ上州男子は形なしですが、まぁこれも慣れてみればまんざらでもなく、「ひかれてる 女房のけつの 暖かさ」と密かにつぶやきながら、だからこそ上州から4人の総理大臣が出たのだと胸を張る。でも「かかあ天下」はまだ遺産でない(>_<)
さらに4日の政府発表によりますと、ユネスコが「明治日本の産業革命遺産群」として九州を中心に8県、32の物件に世界文化遺産の登録を勧告しました。「西洋の技術が日本文化と融合し、急速に産業国家が形成された過程を時系列に示して、普遍的価値がある」としています。
これには例によってお隣の国が、強制労働をさせた施設だと猛反対しているようですが、登録が決まりますと、富士山、富岡製糸に続き3年連続になります。地方の活性化にとてもよいことです。来年は日本国現憲法を世界遺産にして、新しい憲法を発布したいものです。
このところ日本は勢いに乗っています。遠くなったはずの明治がここにきて急に近づきました。西洋の技術を取り入れた明治は、西洋の世界支配に対峙する東洋で最初の台頭になる重大な世界史的なできごとでした。今頃になってやっと世界から評価されてきたわけですが、外国からの評価を待つまでもなく、もっと自国に自信をもちたいものです。明治の人は偉かった。そろそろ自虐史観も世界遺産として葬り去りたいものです。
4月29日のワシントンは、アメリカ両院議会での安倍首相の演説で天晴れな日本晴れでした。アメリカ人好みの基調で、細部まで緻密によく考え抜かれ、練りに練った秀逸かつ格調の高いスピーチでした。
まるでトロイア戦争の鎮魂を奏で、地中海文明の誕生を詠ったホメロスの叙事詩でも聴いているかのようでした。ここ久しく下向きがちだったアメリカンに、このまま一緒に進もうと心暖まる激励にもなりました。戦後70年、日本は敗戦のなかから立ち直り立派な大国なりました。
この名演説は「戦後レジームからの脱却宣言」であり、同時に「アジア太平洋の世紀」の未来を明確にした記念すべきものになるでしょう。世界史的に鳥瞰しますと、かつてギリシャとローマを主軸にして栄えた「地中海の時代」、ついでヨーロッパとアメリカを中心にして繁栄した「大西洋の時代」から、先の大戦の鎮魂を通じて文明のうねりが、日本とアメリカを楕円の二極とした「アジア太平洋の時代」を肯定するもので、「希望の同盟」はその基盤となります。海洋国家の日本が太平洋のギリシャとして日本の使命を実践すべき方向性を意志表示しました。その意味では日本全国民に向けた歴史的な演説でもありました。
私にとりましてタンポポのように渡米し、そこに根をおろして以来、初めて心の晴れる演説でして時おり目が潤みました。惜しむらくはこの演説をなによりも心待ちにした、元外交官の岡崎久彦氏や政治評論家の三宅久之氏、私の恩師・野島芳明氏等に聴かせてあげられなかった事です。今日はそうした草莽の先人にタンポポの栄誉を添えたく思います。