(機上からの富士、2/17撮影)
2月28日のブログに中国の環境汚染を書いた同日、中国の大気汚染の実態や健康被害を告発したドキュメンタリー映画が、インターネットに無料公開されました。映画「ドームの下で(穹頂之下)」は、テレビ界で著名な元ニュース・キャスターの柴静女史(39歳)が自主制作した103分の作品です。
私は見ていないので産経ニュースをそのまま書き写しですが、柴静さん自身がプレゼンテーターを務め、冒頭のインタビューで大気汚染が深刻な山西省に住む6歳の少女に「星を見たことがある?」と問いかけ、「一度もない」と少女が答えるシーンがあるようです。柴静さんがこの映画を制作した動機は、キャスター時代2013年10月に長女を出産したが、腹部に腫瘍があり誕生直後に手術を受けなくてはならなかったことから、「私が汚染のひどい山西省で育ったことが娘の病に影響している可能性が高い」と推察し、看病を目的に退職して映画制作を決心したとのことです。私が以前から近い将来たいへんな事になると書いてきましたが、すでにそれが現実になっているようです。
この映画が公開されると2日後に再生が1億5千万回を超し3億人が見たという大ヒットになりました。中央政府は当初は静観していましたが、あまりの反響の大きさに規制をはじめ次々に映画を削除して一週間後に見られなくなったといいます。しかし、映画は消除できても汚染は消除できません。中央政府は封じ込めることで体制の安定を選んだわけです。
中央政府は環境汚染に強い姿勢で取り組むことを表明し、今後数年に必要投資額が、約156兆?195兆円に上るとの見通しを発表しています。自業自得とはいえ巨額な代償です。もし、環境対策が実行されたとして、この予算も汚職にまみれで私腹を肥やすようであれば、この国に未来はありません。
私が今回の件で中国社会に2つの希望を見ました。彼らはやはり強い関心を持ちながらのサイレント・マジョリティー(沈黙の大衆)だったと確認した事と、2日後に1億5千万回の再生回数で3億人が見たというインターネットの力です。かつての「農村が都市を包囲する」でなく「都市が都市を綱ぐ」時代になっています。まさに再生力の希望です。
星を見たことがある?
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