移民による民族の坩堝で構成されてきた人口国家のアメリカ人には、あまり共通した祝日がありません。新年にしても各民族が固有の暦で迎えています。クリスマスもキリスト教徒の祭日でして、各民族にはそれぞれ信仰する神の祭日があり、共通した祝日でありません。
しかし、感謝祭はこの国に移民して生存できたことを、神に感謝する共通の祝日になっています。感謝祭の由来は1620年に新天地を求めて第一陣の移民団が東海岸に辿り着き、きびしい越冬のなか多くに死者をだしながら、先住民インデアンからトウモロコシの栽培などを習ってサバイバルできたことを、翌年の収穫期に神と先住民に感謝して宴を催したことにはじまります。独立記念日は英国から独立した共通の祝日ですが、本来なら生存自立できた感謝祭こそ記念日に相応しいと思う。
私らもこの国にきてビジネスをはじめ、最初の3年間は生存して行けるかどうか予測できませんでしたが、4年目にしてどうにか生存の目処が立って以来、感謝祭を厳粛に迎えています。ちょうどクリスマス商戦の出荷が一段落する日でもあり、1年の収穫を祝い感謝してきました。
毎年6日間の休日をとり家族で海外旅行に出かけ感謝の祝杯をあげてきました。今年は旅行をせず我が家でボジョレーワイン2014とサンクスギビング・ターキーで過ごします。
ありがたき 姿おがまん かきつばた (芭蕉)
この日はどこにでも生えている素朴な草花にも有り難く感謝、すべてに感謝、感謝です。
以下は余談なりますが、自社に「スミス」という姓の社員がいます。彼は1620年に東海岸プリマスに渡った末裔とのことです。アメリカには「スミス」姓がたくさん居ますので、彼が自己紹介する時にはいつも「オリジナルのスミスです」と言って笑わせています。
先週、クリスマスシーズンで多忙のため、中南米から移民して3ヶ月の人を雇用しました。英語がぜんぜんできないので通訳を通して私に、「仕事の機会をくれて感謝しています」とのことでした。こうした感謝の気持があれば言葉ができなくもやってゆけるでしょう。この国は感謝(Appreciate)を知る者を受け入れるだけの度量があります。
これもまた余談ですが、昨日、日本航空から感謝の楯が送られてきました。私の飛行距離が200万マイル(約320万キロ=地球80周)を越えた感謝とのことです。
さてさて、これからどれくらい飛び続けるのだろうか。それでは久しぶりに飛んできます。みなさんもよい師走をお迎えください。