芭蕉の中秋

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51MaTYw2cDL.jpeg      名月や 座に美しき 顔もなし (芭蕉)

 この句は芭蕉のおやじギャグで笑えます。芭蕉翁は月面にかぐや姫の面影を見たのだろうか。「川上と この川下や 月の友」、かつて芭蕉が川上で見た名月を、いま私も川下で見ていると思うと時空など失せてしまうものです。
 科学が月の表面からかぐや姫やウサギを追い出してしまったが、その科学が新たなおとぎ話を創りました。月周回衛星「かぐや」の観測によると、月の中心部は柔らかい状態で生きていて最大で10数センチほど伸び縮の呼吸をしているようです。どうりで満ちたり欠けたり、大きく見えたり小さく見えたりするわけだ(笑)
 月の満ち欠けを見ますと陰暦の歳時記がより私たちの生活サイクルに近い感じがします。今年は例年より少し早く、9月7日が「待宵月」、8日が「十五夜の中秋」、9日が「満月」となります。満月前の待宵と十五夜を愛でる日本の美意識に感心します。「完全ということは、すべての円熟と同じく、成長が限られているがゆえに、感銘がないのである(岡倉点心)」。
 中国や華僑社会で中秋節は春節(旧暦元旦)に次いで大切な祝日でして「月餅」のお中元シーズンになります。今年は中国の工場から初めてお中元が届き(食品には手をつけませんが)、もしや玉手箱の底に現金(紅包)が潜んでいるのではないかと勇んで開けてみてガッカリ、よけい白髪が増えてしまった。

 今年の中秋は折よく錦織圭選手のUS OPEN決勝戦と重なります。蚊に気をつけながら夜空を見上げ「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」まで楽しみましょう。今年は蚊に刺されると熱がでて鼻が高くなるのかと思ったら「テング」でなくて「デング」だった。まぁご用心あれですが、そうパニックにならなくても「あかあかと 日はつれなくも 秋の風」、千里の好風一夜の蚊、涼しくなれば蚊も風とともに去りぬです。
 牛部屋でなく「公園に 蚊の声暗き 残暑かな」。
IMG_3603.jpeg                        (待宵月 9/7,10pm)


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このページは、三休が2014年9月 8日 00:12に書いた記事です。

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