W杯ドイツ優勝(1)

| コメント(0)

 欧州のメデアがドイツ対ブラジル戦を文明的に取り上げていました。人様の想像することに差異がないようで、ドイツの底力に背筋を寒くしたのは私だけでなかったようです。
 英Financial Timesの落ち着いた論評が、興味深いので長くなりますが整理していくつか拾ってみました;
 ドイツは過去4回W杯で優勝していて、それらがいつも時代の節目を象徴してきました。
1954年の優勝:
先の敗戦と不名誉を味わったドイツ国民が誇りと救いを得ることができた。
1974年に優勝:西ドイツがすでに経済の奇跡を成し遂げ、世界屈指の先進国としての地位を取り戻していた。
1990年の優勝;ベルリンの壁が崩壊した数カ月後に達成された。
2014年の優勝:この5年間で欧州の政治リーダーとして再び頭角を現していた。
「メルケル政権が南欧諸国に経済緊縮策を強要したことで、傲慢で無慈悲なドイツ人という昔のイメージが復活している。実際W杯で最も優勝してほしくない国はどこかという質問に対し、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、オランダ、イングランドでは『ドイツ』という答えが1番目か2番目に多かった」。しかし、
「今回のドイツチームは、見事な才能とスポーツマンシップで称賛を受けている。またW杯大会でドイツを代表してきたチームの中で最も文化的に多様なチームでもある。これはドイツ社会がますます開かれたものになっていることの反映だろう。特に重要なのは、このチームが巧みに設計された機械のように、すべての部品が見事に調和しながら動いているように見えることだ」。
「確かに英国とフランスは核兵器を保有しているかもしれないし、国連安全保障理事会の常任理事国かもしれない。しかし、ユーロ危機を経てドイツはEUの押しも押されもせぬリーダーとなっている。パリが美しい美術館のような雰囲気を保ち、ローマがぼろぼろと崩れ、ロンドンが高すぎる生活費と混雑に悩まされる中、ベルリンはかっこいい都市として台頭している」。
「トロツキーが戦争について残した言葉をもじって言うなら、現代ドイツは力に関心がないかもしれないが、力はドイツに関心を持っている。このため、ドイツの力がまだ感じられていない世界の国々ではドイツのイメージは全体的に良好だが、周辺の欧州諸国では、ユーロ危機を経て劇的に悪化している」。
 W杯を契機にふと気がついたことですが、私たちここ数十年、欧州連合(EU)という政治・経済的な見方にとらわれて、西洋という文明・文化的な側面をおざなりにしてきてしまってたようです。  (続)

コメントする

月別 アーカイブ

この記事について

このページは、三休が2014年7月18日 02:56に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「W杯サッカー顛末記」です。

次の記事は「W杯ドイツ優勝(2)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。