これから書き進めることは、あくまでも私の人間観察からくる独断です。まずそれをお断りしておきます。
私は個人的に朴クネ大統領を嫌いでありません。もっともマザコンの私は女性の不幸を見過ごせない質でして、彼女の寂しそうな孤独な陰影に弱いわけです。それに彼女には不幸がついてまわっています。
1974年に朴正煕大統領(父)を狙った暗殺者の流れ弾で母親が死亡。1979年に父が最も信頼してきた側近に暗殺され、彼女は政治の暗部と地獄を二度も見てきました。彼女の心にどれほど深い傷痕になったか想像を絶します。大きなトラウマです。その彼女が精神的な傷痕を克服し地獄から這い出て大統領に登り詰めたわけですから、私は彼女に大きな期待をもって歓迎しました。
彼女自身はけして反日でないことを、安倍首相は1対1の非公式会談を2度した後に、「やはり彼女は反日でなかった」と実感しています。いや、政治の闇を見た者同志で通じるものもあったかと思います。彼女はたぶん反日というよりニヒルな反政治悪なのかと思います。
父が暗殺された時の彼女の第一声は、混乱に乗じて北朝鮮が攻めて来ることを懸念して「休戦線はだいじょうぶか」だったと言いますから、筋金入りの大統領の愛娘です。これほどに覚悟のできた女性ですから、暗殺者の背後に蠢く闇の組織を知り、父の霊前で密かに報復を誓ったのではないかと推理します。ファザコンの彼女なら当然の感情でして、私がこの時点で彼女は心を閉じ、思考が凍結したとする所以です。
そこから彼女の一連の外交が見えてきます、テロに対する執念、中国への異常接近(ニアミス)、反日外交を通してその奧のみえない組織に挑戦、そしてその組織になびく安倍首相(日本)に我慢がならないのだと思う。「青瓦台の仇は紫禁城で」すが、こうした感情は「私憤」であり「公」でなく、「私」のために「公」を犠牲にしては国民がたまりません。これは大統領になる前に超えねばならない課題でしたが、儒教の世界では親の仇討ちは大いに肯定されてきました。
国際政治とは冷酷そのもので、安倍首相もそれを承知の上で演じていますが、彼女には無理なことなのでしょう。ただ、もし、見えない組織が彼女のこうした挑戦を脅威の芽と捉えたら、今度は彼女が危険にさらされます。その時に中国は彼女を切り捨てるでしょうが、日本はこれ以上彼女を戦後レジームにふりまわされた悲劇の主人公にさせないために守ってあげるべきです。遠くの親戚より近くのマザコンです。
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