ねがはくは 花のしたにて 春死なん
そのきさらぎの 望月の頃 (西行)
「ローン終え ほっとつかの間 墓地ローン」(サラ川)、今日はつまらん話しです。
「就活」「婚活」についで「終活」がブームとのことで、まだ死んでもいないのに納棺体験をするようですが、ご苦労さん。こんなことは別に体験しなくもいつかは逝く道で、その時はその時。生きているかぎりは取り越し苦労をやめにして、今を楽しむことです。元気なうちから終活とは、よほどの物好きか暇人で何もやることがないのだろう。潜在意識からみましても百害あって一利なし、せっかく生かされている命を自分から棺に足を踏み入れる罰当たり、こういう律儀な粗忽者はさっさと逝きなさい。お先にどうぞ。
さてそこで私事になりますが、毎年5月は花粉症のため一年を通してメンタルが最も低い欝月になっています。ですから私の最期は西行と同じように「きさらぎの望月の頃」ではないかと考えていました。しかしこのたび体内に水を補給することで予定をキャンセルしました。そのうえ寿命がさら延びたようで、有り難いことです。
私がバリバリの経営者だった時は、積極一貫でマイナスの赤ペン使用禁止、「問題」という言葉は禁句で問題は商機としてきました。ですからかつて一流大学の哲学部を出たインテリが、二つの事でよく私を面白可笑しくからかいました。
一つは、電卓を専門に販売してましたから、もし私に電卓の商品開発させたら『+』プラスキーと『×』掛け算だけで、『ー』マイナスキーも『÷』割り算もない電卓になるだろうというジョークでした。まぁ私ならばさもありなんでやりかねない。
もう一つは、毎日「積極、積極と言いながらなぜ花粉症になるのだ」という意地悪な冷やかしでした。私は「花粉の侵入を皮膚層で積極的に排除している証しだ」と強がっていましたが、内心は忸怩たる思いでいました。そして毎年のこの時期になるとインテリの冷笑を思い出すのですが、こればっかしはどうにもならず悔しい思いをしてきました。
でも、今なら彼に「どうだご覧の通りだ」と言い返してやるのだが、残念なことにインテリは消息不明、いま頃はどこかで「終活」哲学でもやっているかも知れない。
「インテリは もの知りだけに 不幸者」
西行、東へ行く
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