TMSK 愛と悲哀の調べ

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TMSK1.jpeg 私と中国とのかかわりは1966年の文化大革命を機にして、かれこれ半世紀になります。多くのことはすでに歴史となってしまっていますが、いまも活動を続けている近未来史もあります。
 青春をともにしてきたこの国を「回頭看(振り返って見ると)」これが彼らのめざした国なのかと虚しさを感じる時があります。出張しても大気汚染、水の汚染、食品汚染、一個の卵やコーヒーのクリームまでにも大丈夫かいなと気を使っています。それに拝金主義による心の汚染、指導者の汚職や器量の矮小化、、、なにせ13億の人口だから仕方ない事かと思ってはみても、やはり時に気が滅入ります。
 ですから中国出張は必要ないかぎり3日間の滞在で予定を組んでいます。時折「こんな国もういいかな」と、突き放したく思う事もありますが、そんな時にいやまだ諦めずにお付き合いして行こうと、私を魅き留めるスポットがあります。
 私は出張最後の夜に上海の新天地にでかけて、TMSKレストランに寄るのを、密かな楽しみにしています。TMSKとは「透明思考」の略で、日本語、中国語でも共通の音となっています。新天地でなんの色にも染まらない透明思考とはうまいネーミングです。お店のオーナー楊恵珊は台湾で古参の女優でして、各地の高級モール街に出店している「瑠璃工房」チェーン店のオーナーでもあり、TMSK店内のインテリアもトイレに至までセンスのいい瑠璃ガラスで飾られています。
 お店の二階に楊恵珊のデザインによる小舞台があり、TMSK新民楽団が毎週末に演奏をしています。中国の民族楽器、二胡、琵琶、
笛子、笙、楊琴などによる中国辺疆の民謡や、西洋音楽を融合させた曲で、一民族の情熱的な愛と悲哀を奏でています。新民楽団の若者が奏でる愛と悲哀の調べに中国文化が時空を超えて躍動をはじめ、悠久と幽玄の境地を醸し出してゆきます。二胡によるカルメンの独奏は中国と西洋音楽が見事に解け合い観客を魅了させます。
 今回もこのスポットに立ち寄り彼らの調べに癒され、「まだまだこの国も、若者も捨てたものでないな、もうしばらく彼らと一緒にいよう」と思いながらここを後にしました。かつては平和大飯店での上海ジャズが象徴でしたが、やがて新天地のTMSK新民楽団の創意が上海文化を代表して行くことになるかと思います。
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このページは、三休が2014年4月27日 00:01に書いた記事です。

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