上の写真は12月14日早朝の上海です。左側に東方明珠塔が微かに見えます。今年の上海の大気汚染はひどいもので、ホテルの部屋に配達された英字新聞の一面に大きく「朝もや」の公園で数人のグループがマスクをして太極拳をしている写真でした。さらに北京空港では「濃霧」のため84便が欠航したニュースでした。
中国はこの大気汚染の日に、無人月探査機「嫦娥3号」(かぐや姫3号)を打ち上げて成功させました。かぐや姫が月に帰りたい気持ちがよくわかる。たいへん結構な事でして「おめでとう!」
この環境汚染の中を何故に月へ、さすがに一般民衆はしらけ、国際社会でもさしたるニュースになりませんでした。国威発揚、中国の夢、政府への求心力と民族意識の高揚のもくろみは外れてしまったようです。彼らにとっての関心は、遠い月のことよりも、近くの環境汚染の改善にあります。
(林の下に夕で「夢」の略字、中央は共産党、上に「乱」が)
中国は漢字の国ですから、街中を歩くとそこに貼られているスローガンで、今の国家目標が何かがわかります。そしてそれが社会問題の裏返しであることもわかります。前政権の時は「和諧社会(格差のない和の社会)」でしたが、格差はますます広がり和のない社会でした。現政権は「中国之夢」となりました。私は「夢」のスローガンを評価していますし、中国には夢が必要ですので、指導者の気持ちもわかります。ですが現実はまったく夢もなく、さらなるニヒリズム社会を呈しています。笑い話しに「中国人の夢はアメリカへ移民して、アメリカン・ドリームを獲得すること」の程度です。
それに今回はホテルのロビーで中国人の顔を観察してましたが、目の周りが腫れぼったく疲れた様な人相で、以前より悪くなってきていることに気づきました。やはり「夢」が必要のようでした。
中国之夢
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