(ライシャワー邸宅)
ブログにケネディ新大使の「信任状捧呈式」を書きながら、故エドウイン・ライシャワー元駐日大使を思い出してしまった。
エドウイン・ライシャワーは日本生まれのアメリカ人として1961年から1966年まで駐日大使を務め、日米の架け橋として最善を尽くされ、多くの日本国民から親しまれました。
大東亜戦争中にアメリカ陸軍の対日情報戦に従事していた頃、米陸軍航空隊による日本の主要都市の爆撃リストの中に京都の名前を目にし、あまりのショックに上司のオフィスに駆けこんで大粒の涙をこぼしながら京都を爆撃リストから外す事を必死に頼み込んだという逸話が残っています。
1964年、アメリカ大使館の門前で太腿をナイフで刺されて重傷を負い、日米関係に緊張が走った時に、輸血を受け「これで私の体の中に日本人の血が流れることになりました」と緊張を和らげ美談に変えました。しかし、この輸血がもとで肝炎を患い、一時は大使辞任を考えたが「今退任し帰国すれば日本人は事件の責任を感じてしまうだろう」と、留任することを決めています。
たしか離日のお別れ立ち会いパティーだったかと思いますが、私も進行係のアシストとして学生服で送別に列席しました。ライシャワー大使を身近で拝見し意外に小柄な人だったことが強い印象でした。なにより日本を愛し、日本人から親しまれ、惜しまれながら日本を後にし、ハーバード大学の日本研究所に帰任しました。
その後はボストン郊外に邸宅を構え、1988年(昭和63年)に、皇太子(明仁親王)と美智子妃が訪問して滞在しています。1990年(平成2年)輸血時の肝炎が悪化し、79歳の生涯を終え、遺言により遺灰は太平洋に撒かれました。
ライシャワーの邸宅は二階が記念館となり、一階は住まいとして日本からの短期研究員等に提供しています。その邸宅に私の友人が2年ほど研究員として滞在した折に訪問し、記念館を拝観させてもらいました。
記念館の中央に昭和天皇から賜われた駐日大使信任状(?失念)の額が掛けられ、そこには昭和天皇のお人柄が偲ばれる直筆で「裕仁」と著名されておりました。私は昭和天皇の直筆字体を初めて拝見し、凝視したまま身がふるえる感動を覚えました。ライシャワーにとりましてもこの直筆「裕仁」は、生涯の大きな誇りだったのかと思います。
ライシャワーを偲ぶ
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