「影法師」を面白く読み終えた。これで百田尚樹さんの本はとりあえず一段落です。
この本は講談社の文庫なのですが、読者の中には結果を待ちきれずにエピローグから先に読んでしまう野暮な人がいるため、「終章」が袋とじになっていて「カッターか厚手の紙で切り開いてご覧ください」という工夫がしてあるのが面白い。こうすれば袋とじを切り開いてまでして後から読み始める読者もいないだろうという装丁。私はこの「終章」はなくてもいいかなと思うけど、それは読者のお楽しみですから、野暮な解説はしないでおきます。
百田尚樹さん「夢を売る男」著書の中で、編集長の口を借りて自分の小説を自虐的に評価しています;
「元テレビ屋の百田何某みたいに毎日、全然違うメニューを出すような作家も問題だがな。前に食ったラーメンが美味かった、また来てみるとカレー屋になっているような店に顧客がつくはずもない。しかも次に来てみれば、たこ焼き屋になっている始末だからな」
「馬鹿ですね」
「まあ、直に消える作家だ。後の世に残る作家というのは、常に新しい読者を生み出す小説が書ける作家だ。ある世代の人たちに熱狂的に受け入れられても、その世代が消えたらお終いだ」
私もこれで彼の新装開店を5軒ハシゴしたことになりますが、店主は同じでダシに我々が忘れてきてしまった隠し味があり、ユニークで美味い作家です。これからもどれだけ新装開店できるのか、請ご期待です。
コメントする