まぼろしの満州

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IMG_1000.jpeg 今回、私の中国東北の旅行目的は極めて単純でした。昨年12月に開通した「哈大高速鉄道」に試乗して、車窓から「まぼろしの満州」の風景を見ながらハルピンまで北上し、ロシアのアムール川(黒龍江)へ流れる松花江を眺めたいというものでした。
IMG_0897.jpeg この「哈大高鉄」新幹線は、遼寧省大連から瀋陽(奉天)、吉林省長春(新京)を経て黒竜江省ハルピンの東北三省を、南北全長921キロ縦断しています。世界初の高冷地を縦断する高速鉄道で、零下40度から40度まで耐え得るように設計され、冬季は時速200キロ、夏季が300キロで走り、4時間20分ほどで大連からハルピンを結んでいます(設計ベース最高時速350キロ)。
 高速鉄道の建設にまつわり、鉄道省の巨額な汚職、賄賂、膨大な累積赤字、手抜き工事、日本新幹線のパクリ、安全性、脱線事故等いろいろ問題が列挙されていますが、結果として短期間に全国土に新幹線網を張り巡らせたことは、市場経済開放30年間の成果を象徴するものとして素直に評価したいものです。
IMG_0942.jpeg おかげで私もわずか3日間で、学生時代から夢馳せてきた「まぼろしの満州」の地、大連、瀋陽、長春、ハルピンの東北四大都市を旅する事ができました。私も時が時なら満州に渡っていたかと思う。五族共和の満州王国の楽土を失ったことは実に惜しい思いがする。
 大連はすでに日本統治時代の面影が風化し、街中に路面電車だけが、かっての日本人居住区、大和ホテルや横浜正金銀行の通りを走っていました。

IMG_0876.jpeg 新幹線で大連の郊外にさしかかるとアカシアの花が散らずに咲いていました。車窓の風景は延々と大気汚染された重い曇り空と広大な大地が続き、人民公社風な村々と畑の中に死者を埋葬した土盛りが散見されました。満州では死者を天でなく地に還えす大地母神信仰の名残で、満州に渡った多くの日本人もこうして大地に埋葬されたのだと思う。

IMG_0914.jpeg  黒龍省に入りハルピンに近づくにつれ、雲が切れて青空がひろがり、ここまで来ると青天が残っていました。ハルピンは満州語で白鳥の意味ですが、目抜き通りの中央街を散策すると白鳥のような美人がたくさん飛んでいたのは嬉しい驚きでした。切れ長な目をして京劇から飛び出てきたようだった。女真満州族の血を引くのだと思う。好奇心に都市別ランキングを調べたら、これまで大連がNo.1でモデルと女優を量産していましたが、今年からハルピンがNO.1の美人都市となっていました。 
 どうやら今回は美人都市から美人都市への旅でもあったようです。


IMG_0988.jpeg       街中の温度計は零下40度から40度となっていました。


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このページは、三休が2013年6月15日 23:12に書いた記事です。

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