香港とマカオはそれぞれ中国の特別行政区になっていて、現在の社会制度をそのまま50年間維持を認める「一国二制度」になっています。香港はかってイギリスの植民地であり、マカオはポルトガルの統治下でしたので、中国に返還後も50年間はその制度を適用するというものです。このあたりが中国の悠長な懐の深さというか、したたかな政治手法のところです。
しかし、50年は長いといっても香港が返還されてすでに16年目ですから(マカオは14年目)、あと34年となります。この間に民主制度の香港とマカオが中国に変化をもたらすか、あるいは現行の中国制度に呑み込まれるかが勝負のつけどころとなります。中国の歴史からみて政治の変革は常に南部から起こるので興味深いところです。
まぁ、政治的なことはとりあえず置いといて、地政学的にも香港はアジアのハブとしてこれからも発展を続けて行きます。現在、香港と珠海とマカオの珠江デルタ地区をつなぐ「港珠澳大橋」の建設が進められています。この大橋は全長35キロメートル、大橋あり海底トンネルありの世界最長級で、片側3車線の6車線の自動車専用道路となり、香港と珠江を30分でつなぐ壮大なプロジェクトです。
2016年に開通予定ですが(たぶん遅れます)、やがて香港と珠江デルタ地区と、これに深セン地区を加えて、金融、経済、工業、娯楽、リゾートの大きな経済ブロックが誕生します。おそらく東アジアを片隅に押しのけて、アジアの中心地区になって行くことと思います。
返還後の香港は街の品格やクラスが落ちてきていますが、こうしたことは相互作用ですから中国本体も変わって行くことと思います。
上の広報写真は香港の街角で見かけたもので、そこには「一路向前、一路潔浄(前進一筋、清潔一筋)」とあり、さしずめ香港を「生まれて来た時よりも美しく」といったところかと思う。そうあって欲しいものです。
「時が過ぎ時代が変わり 若き日をふりむき
心だけが帰る所は きっとこの街」(テレサテン『香港』)
夢の架け橋
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