今回の東京、中国出張は14日から21日まで5泊、機上2泊の強行のためか、一枚の写真も撮らずに帰ってきてしまった。日本では衆院解散、中国では10年ぶりに指導者が代わる第18回党大会の直後というのにシラケを感じてなんら写真に留める対象もなく「走馬看花(馬で走りながら花を見る)」移動だけで終わってしまった。
こんな収穫のない出張もめずらしいと思いながら、帰りの機上で「週刊文春」11月29日号の特集、「曽野綾子X葛西敬之の特別対談」を読み始めてガッテンでした。大型企画「中国リスクを吹き飛ばせ!」とあり、「経営者よ、国家ぐるみの詐欺にダマされるな」と、週刊誌としては珍しく中味の濃いものだった。
対談の両氏は私がかねがね尊敬している方であり、時おり葛西氏(JR東海会長)の小論を読んでいました。しかし、葛西氏の中国に対するスタンスが私とここまで同じだったことに(私からの引用ではと思えるほど)、驚きをもちながら読み感動さえ覚えました。4ページの対談ですが参考になりますのでお薦めです。
日本は「財政破綻の危機に目を瞑り、累積債務を先送りし続け、中国の侵略の危機にも、何ら手を打たずにいる。私には現在の日本が、破綻直前の国鉄の姿と重なるのです(葛西氏は国鉄の民営化を主導した)」
さらに極めつけは、「21世紀は太平洋を挟んで中国の国家資本主義と、アメリカの自由民主主義が対峙する時代です。日本は世界の二大勢力が拮抗する最前線にいるわけですが、どちらにつくのか、岐路に直面しています。どちらを選択するかのヒントも、また歴史のなかにあります。もし日本が中国側に付き、東アジア共同体を目指すなら、戦前と同じ過ちを繰り返すことになる。近衛文麿内閣は日米関係が悪化する中、中国大陸に国運を賭けて戦争に突入し、すべてを失いました。日本は自由、民主主義という普遍的価値観を共有する環太平洋諸国と経済的・軍事的な紐帶を強め、中国の覇権主義に対抗するしかありません。大陸と環太平洋の間で勢力均衡が成り立てば、中国は初めて紳士的な隣人となるでしょう。」
以上ですが、私と全く同じスタンスです。これは私の持論でもあります。日中間にアメリカを挟むことで、「保持距離、以策安全」となり、日本の未来は海洋国家として、中国は大陸国家として棲み分ければよいというものです。その線引きが尖閣諸島でもあります。
また、これは中国の為でもあるわけです。
(本ブログ11月3日「満州族」を参照)
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