ロンドンからニューヨークに戻り、翌日からヒューストン経由でメキシコ湾の西岸ベルクルズに出張となりました。
ベルクルス(聖十字架)は、人口764万人、メキシコで3番目の都市になっています。メキシコで最初のスペイン植民地になった港湾都市として、大西洋岸の貿易港として栄えました。
かつてはオルメカ文明の中心地だったが、今ではその面影もなく、海賊や外敵から守る小さな要塞を残すだけとなっています。文化的にさして見るべきものもなく、17世紀に建設された市役所、18世紀に建てられた大聖堂、水族館などで、あとはリゾート地として知られています。
先鋭都市ロンドンからいきなりのどかなリゾートへの移動は、時差よりもカルチャーショクでして、飛行機がタイムマシーンの様でした。私は海辺のリゾート地にあまり興味がないので、出張するのも気が進まなかったが、大手顧客の御社ビル落成パティーの招待で、二泊三日してきました。
また、中国の経済がスローダウンしてリスクが高まり、人件費もメキシコとそれほど差がなくなってきているので、ここらでメキシコの生産環境を視察したく思いました。彼らは親日的で、勤勉かつ器用で、心が温かく、清潔好きですので、じき中国のライバルの生産拠点に成長し、メイド・イン・メキシコの商品が、欧米市場に増えて来る事が目に見えてきました。近いうちにまたアメリカとの国境近くに在る軽工業地帯へ視察を考えています。経営者はつねに問題よりも機会に集点を合わせ、もしそこにリスクがあれば批判する前に黙って行動なのです。
メキシコ湾の岸辺に四本の石柱が立っていまして、それぞれの柱に、「Amor=愛、Honor=誇り、Verdad=誠、Trabago=勤労」という文字が、長い戦いの歴史の中で彼らが掴み得た信条が刻まれていました。これがメキシコの精神なのでしょう。
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