私が中国、台湾、日本に出張している間に、「竹島」、「尖閣」の領土問題で不愉快な騒ぎがありました。領土問題は民族感情に直結するので実に厄介な問題です。
でも、これは私の個人的な考えですが、隣国とはこれくらいの緊張関係にあった方が、お互いによいのではと考えています。あまりベタベタせず、近からず遠からずの距離感が程よいと思ってます。距離があれば相手の姿勢がよく見えるものです。
私は常日頃から薄っぺらな「日中友好」や、低俗な「韓流ブーム」にうんざりしていますので、これくらいの風通しの方が却って爽快です。
私の今回の出張イベントは、中国から台湾海峡の上空を飛んで台湾に直行する事でした。なんでこんな事がイベントなのかと思われるでしょうが、実はこの両岸はつい最近まで直行便がありませんでした。
中国と台湾の両岸には冷戦イデオロギー体制が対峙したままで「不接触、不談判、不妥協」という「三不政策」がありまして、長いこと直接の「通商、通航、通郵」が禁止されていました。この「三不政策」が解禁になったのは、2008年末になってのことなのです。
ですから、私はこれまで安全を考慮して香港経由を利用し直行便を敬遠してきました。今回はもうそろそろ直行してもいいだろうということで、中国の民間航空で深セン空港から台北へ、一時間半の直行便を利用してみました(上の写真は台湾海峡から台湾島を遠望)。
解禁して4年目にですが、少しは緊張感が残っているかと思っていましたら、双方の出入国手続でも通関員は顔色ひとつ変えることなく、荷物の検査をするでもなく全てが通常でした。乗客の80%くらいが台湾の人でしたが、その多くが座席に着くなり、離陸するのも待たずに居眠りを始め、イビキまで聞こえてくる始末で、こちらが拍子抜けしてしまうほど緊張感が皆無でした。
政治に政策があれば、経済に対策あり、経済の本音が政治の建前を嘲け笑っているかのようでした。まったく彼らのこの実を取る現実的なしたたかさ、柔軟なたくましさに感心してしまった。
今回の領土問題もこうした彼らの喧嘩しながらも交流するメンタルから学ぶものがあるかと思う次第。
台湾海峡
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