「ドナウ川の薔薇」といわれるドナウ両岸のブダペストの中世文化を楽しんできました。
ドナウ川はドイツを源流にして全長2860km、中欧部のオーストリア、スロバキア、ハンガリーと流れ、東欧10カ国、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ウクライナ等から黒海へ注ぐ大河で、古代から内陸航路が発達し、中欧交通の大動脈となっていました。
この大河を舞台にして古から諸民族が交差し、ローマ帝国はここまで膨張し、ここを北方の防衛線にしました。中世には十字軍とそれと対抗するオスマントルコ帝国の兵や武器の輸送路となり、17世紀にドナウの上流・中流がオーストリア領に、下流がオスマン帝国領となり、この二重帝国を結びつける大河となりました。第一次世界大戦によって二重帝国が崩壊し不安定な国際情勢が続き、そこをドイツのナチスが占拠し第二次世界大戦後にはソヴィエト連邦の衛星国におかれ、冷戦終結後は東欧革命によって各国々が解放された歴史となっています。
ドナウ川にまつわる民族興亡の歴史を思い浮かべながらクルージングしていますと、川岸の荘厳な中世の建物に並んで、美観をそこなう不釣合いな近代建設のインターコンチネンタル・ホテル、マリオット・ホテルが視界に入ってきます。なんであそこにかくも安っぽいビルを建てるのだろうか。世界遺産ユネスコの認可に多額お金を使ったのだろうが、もう少し建物に工夫が欲しいものです。
なるほど、「行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」で、冷戦の終結とともに、今度はアメリカと西欧(EU)が進出を始め、ドナウの流れとともに歴史も流れていたわけでした。
こうしたアメリカの進出の中で一つだけ救われたのは、ブダペスト西駅に隣接して在る、ヨーロッパで一番に豪華といわれるマクドナルド店だった(下の写真)。天井の高い中世風の建物をそのままに改装して、中世と現代の佳さを巧みに活かしていました。しかも、ビックマックの味もピリ辛くハンガリー風味で、ポテトは新鮮な現地産だった。
マックナルドが進出して行く国には戦争が起こらないということだが、グローバル化とはこうありたいものです。
ドナウのバラ
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