烏鎮は1300年の歴史ある水郷の古都で、かって呉国と越国の境で、呉越の防衛線に位置していていました。現在は中国最後の「水を枕に生活する古鎮」として保存地区に指定され、よく管理されており、観光客を十分に楽しませてくれるテーマパークになっています。
小運河(クリーク)の風景はベニスを思い浮かばせてくれるが、水の濁りが少々惜しく感じられる。30年前までは澄んだ水で、お米をとぎ、洗濯をし、泳ぎもしたというが、小運河の流れを塞き止めてからこのような濁り水なってしまったとのこと。それでも水郷を散策し、小船に揺られながら橋々をくぐり、水辺の喫茶室で当地名産の美味しい菊花茶を愛でると、往時のよき古鎮の面影が偲ばれてきます。
小舟に揺られて2キロほどクリークを遡ると、白蓮寺の七重塔が見えてきます。当地に仏教が伝わった歴史は長く、この白蓮寺も1106年の建立されています。
香炉には煙はなく、半分だけ消え残った数本の線香が斜めに無残にささり、その乾きぐわいからして、しばらく焼香をしていない様子だった。僧侶も見当たらず、お経も聞こえてこない。ただそこに52メートルの七重の塔が在るというだけだった。
これが今の中国の荒廃した心の象徴なのかも知れない。
私が中国のどこの観光地に行っても、いつも何かいま一つ精神的に満たされないのは、どこへ行ってもスピリチュアルなものを感じないからだと思う。
中国の信仰心の廃頽は、そのまま文化の廃退となりはしないか。文化大革命の傷痕は実に深いものがある。中国は急ぎ過ぎる繁栄の中で、神仏に手を合わせることもなく、信仰心を失いニヒリズムを呈していないだろうか。
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