私は心理学の授業を受けた時、生徒の心理をまるきりわからずに退屈極まる講義を訥々と続ける学者馬鹿に辟易して以来、心理学から遠ざかってしまった。
東京都立精神保健センターの冊子「災害時のこころのケア」の手引きによると、被災者への4つの禁句があり;
「いろいろあったけど命が助かったからよかったじゃない」、この禁句はその通りだと思う。
次に「早く元気になってね」は、被災者が失ったものを理解されてないと感じるので禁句。「がんばって」は、疲れきっているのに追い打ちをかけるから禁句。「早く忘れて前向きに生きよう」も禁句なのだという。
では、被災者に何と言ってあげたらいいのか。「元気に」、「がんばって」の他に言葉があるというのでしょうか。すでに大被災に絶句している私たちの口からやっと絞りでてくる言葉まで津波は奪うというのか。
たしかに非常時の言葉には行動と責任がともなうものです。生死の極限に置かれた被災者は、直感で話す人の言葉の奥のその真心を嗅ぎ分けられるものです。被災で研ぎ澄まされた直感は、言葉に潜む真心を敏感に察知し、以心伝心でごまかしは通用しません。
ですから真心からの発露であるなら、禁句などに惑わされることなく「元気になってね」、「がんばれ東北」の言葉を送ろう、きっと被災者の励ましになります。
それにしても被災者を励ます言葉がみつからない、私は言葉に詰まって、被災した友人に「また会いに行きます」だけを伝えた。
会ったら抱きしめて生きている喜びを共有したいと思っている。
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