クンバハカ法再考

 天風先生は「日々更新は絶対の宇宙真理であり、時代の推移とともに人間の思想も変遷していくもので、また人間の生活内容も違ってくるものである」と述べています。
 私はたとえ宇宙真理は不易でも、天風先生が只今この時代に生きておられたら、大きな生活環境の変遷、情報化、高齢化社会のなかで、どのように教義を日々更新させて行かれたか」を、念頭にして教えを実践しています。
 天風哲理は極めて完成度の高いものでして、これを越えて更新させて行くのは至難なことですが、大道説法に立たれてから95年、ご帰霊されて45年の歳月が過ぎています。説かれた真理は不易でも、真理にたどりつく方法は、時代に順応して更新されて行くものと考えています。天風先生ご自身も教義のなかで時代に合わなくなった内容は、その日から口にしなくなったと言われています。
 さて、そこでクンバハカ法についての再考ですが、
 *肛門しめ上げる
 *肩の力をぬいて下ろす。
 *下腹部に気力を充実させる(下腹に力をこめる)。
この三位を同時に行うとしていますが、「下腹に気を充実させる」説明には、もう少し丁寧な補充が必要かと考えています。


 私の友人に長年わたりスポーツジムを運営している横尾孝一郎インストラクターがおりまして、熱心にクンバハカを実践しています。
彼と今年3月に食事した時に、ふと「激しい情動の時に、絶対クンバハカに入いろうとするのだが、どうしても完全に決まらず、その都度しくじってきました。そこで腹壁側面をベルトかコルセット締める要領で意識して腹を凹ませながら腹横筋の動きを収縮させ、肛門をグッと締める方法でやってみたら絶対クンバカに入れて情動を鎮めることができた」と話してくれました。そして彼からドローイン方式による腹横筋の強化をすすめられました。
 私も加齢にともない腹部の筋肉の衰えからか、下腹部に気力を充実させる絶対クンバハカに関して、彼と同じ思いをしていましたので、さっそく彼からドローイン方式を指導してもらいました。
 ドローインとは意識的に腹を凹ませる腹式呼吸法でして、クンバハカ法そのままと言ってよいものでした。クンバハカと平行して行う「呼吸操練(プラナヤマ法)」でカバーしています。それにドローインはダイエットやスタイルの矯正、腰痛対策などの
運動療法やスポーツ選手のトレーニングの目的にとどまり、重要な「神経反射の調節法」までは探求していませんが、腹横筋の働き関しては参考になるものがありました。

 腹部の複雑な構造を解剖学的に見ますと、内臓器官を守るように覆っている腹横筋と、その外側に腹斜筋、前に腹直筋、そして背中側に背骨を支える脊柱起立筋などの筋肉で構成されています。ドローインで腹を凹ませながら肛門を締めあげることで、骨盤の下にある骨盤底金という筋肉が動きだして下腹部を押し上げ、それに腹横筋が連動して下腹部の筋肉に気がこもり絶対クンバハカに入ることができます。ドローインすることでお腹の周りの筋肉が形状記憶しますので瞬時にクンバハカ体勢になれるわけです。もしこれまでいまひとつ絶対クンバハカが決まらないと感じられてきた方にお勧めしたく思います。
 
附記;

 天風関連書籍を再度開いてクンバハカ方法を調べてみましたが、腹横筋に関する言及がありませんでした。あらためて横尾インストラクターの日頃の実践と、クンバハカと腹横筋を連動させた洞察に敬意を表したく思います。

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この記事について

このページは、三休が2013年10月 7日 11:55に書いた記事です。

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